王城-水の精霊-

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「まさかな…。」 シュウは苦笑いを浮かべた。二人は声が聞こえた方へ進んだ。すると確かにそこには、水の精霊らしき姿があった。しかし…。 「なんで鎖に繋がれてるんだ?」 シュウは水の精霊の姿を見て言った。 「この鎖を切って下さい。このままでは…。」 水の精霊は苦しそうな声で言った。 「鎖をか。分かった。」 シュウは剣を構えた。そしてそのまま大きく振りかぶった。すると鎖は音もなく消え去った。 「ありがとうございます。」 水の精霊は、先ほどとは打って変わって澄んだ声をしていた。 「おやおや困りますねえこんな事をされては。」 二人は振り向いた。 「誰?」 シルフはそこに立っていた男に問うた。 「私はロベルト、大臣とでも言いましょうか。それより困りますなぁ。脱獄した上に我が国のエネルギー源を盗もうとするなんて。」 ロベルトは嫌らしい口調で言った。 「水の精霊を盗む?盗んだのはあなたの方じゃないの?」 「何を言いますか。まぁ、あなた方のような低脳な人間の言い分など聞くだけ無駄だ。皆の者、この脱獄犯を捕まえるのだ!殺しても構わん!」 ロベルトがそう言うと、後ろから多くの兵士が出てきて二人を囲んだ。 「逃げましょう。」 水の精霊は言った。 「逃げるってどこに?」 シュウは問うた。 「私のあるべき場所です。」 水の精霊がそう言った瞬間、周りを白い光が包み込んだ。そしてその光が消えた頃には、そこに水の精霊も二人の姿もなかった。 「小癪な。まぁ良い。すぐに奴らを追うのです!」 ロベルトは兵士に命令した。すると兵士は一斉外に向かって走り出した。 「ふん。このままでは済ませませんよ。水の精霊は私の物なのですから!」 ロベルトはそう言い残し、その場から消えた。
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