6人が本棚に入れています
本棚に追加
「まさかな…。」
シュウは苦笑いを浮かべた。二人は声が聞こえた方へ進んだ。すると確かにそこには、水の精霊らしき姿があった。しかし…。
「なんで鎖に繋がれてるんだ?」
シュウは水の精霊の姿を見て言った。
「この鎖を切って下さい。このままでは…。」
水の精霊は苦しそうな声で言った。
「鎖をか。分かった。」
シュウは剣を構えた。そしてそのまま大きく振りかぶった。すると鎖は音もなく消え去った。
「ありがとうございます。」
水の精霊は、先ほどとは打って変わって澄んだ声をしていた。
「おやおや困りますねえこんな事をされては。」
二人は振り向いた。
「誰?」
シルフはそこに立っていた男に問うた。
「私はロベルト、大臣とでも言いましょうか。それより困りますなぁ。脱獄した上に我が国のエネルギー源を盗もうとするなんて。」
ロベルトは嫌らしい口調で言った。
「水の精霊を盗む?盗んだのはあなたの方じゃないの?」
「何を言いますか。まぁ、あなた方のような低脳な人間の言い分など聞くだけ無駄だ。皆の者、この脱獄犯を捕まえるのだ!殺しても構わん!」
ロベルトがそう言うと、後ろから多くの兵士が出てきて二人を囲んだ。
「逃げましょう。」
水の精霊は言った。
「逃げるってどこに?」
シュウは問うた。
「私のあるべき場所です。」
水の精霊がそう言った瞬間、周りを白い光が包み込んだ。そしてその光が消えた頃には、そこに水の精霊も二人の姿もなかった。
「小癪な。まぁ良い。すぐに奴らを追うのです!」
ロベルトは兵士に命令した。すると兵士は一斉外に向かって走り出した。
「ふん。このままでは済ませませんよ。水の精霊は私の物なのですから!」
ロベルトはそう言い残し、その場から消えた。
最初のコメントを投稿しよう!