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「うわぁぁぁ!」
兵士達は一斉に逃げ出した。
「な、何ということだ。ロベルト君が魔物だっただと。」
王様はその場に立ち尽くしていた。
「おい、王女様!ここは俺達にまかせて、王様を連れて早く逃げろ!」
シュウは叫んだ。
「わ、分かりました!」
アニーは王様の手を引いて駆け出した。
「逃がさんぞ!」
ロベルトも追いかけようと跳ぜた。
「おっと、あなたの相手は私達よ?」
シルフが行く手を阻んだ。
「おのれ…、私の計画は全て順調だったのに、アニーの邪魔が入らなければ、今頃貴様等は茹で蛸になっていたというのに!くそ!このままではギガンテス様に合わせる顔がない。こうなったら、私が直々に貴様等を消し炭にしてやる!」
「ギガンテスだと?」
シュウは問うた。
「そうだ。私はギガンテス様に精霊をこの世界から抹消するように命令を受けていたのさ。それを邪魔する者はみな処分していった。そしてギガンテス様は、その計画に最も邪魔である、貴様等の処分も私に任せてくれたのさ。だから貴様等にはここで死んでもらう!」
「よくしゃべるオジサマね。」
シルフは皮肉を込めて言った。
「黙れ!」
そう言ってロベルトは、一瞬でシルフとの間合いを詰めた。
「え!?」
シルフは想像以上のスピードについていけなかった。それどころか、完全に人質にとられた格好になった。
「ふん。口だけみたいだな。おい、シュウとやら、そのまま動くなよ?」
ロベルトはシルフを人質にとったまま、銃口をシュウに向けた。
「く…。」
シュウは為す術がなかった。しかし突然、ロベルトとシルフの周りを囲むように、風が渦を巻き始めた。すると、その中からロベルトの叫び声が聞こえ、シュウの方へ吹き飛んできた。シュウは咄嗟のことだったので、剣を構える暇もなく、単純にロベルトをぶん殴った。
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