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「一体なにが起こったのだ?」
ロベルトは状況が理解できなかった。
「この世界の風は、みんな私の友達なの。私の言うことを何でも聞いてくれるんだ。」
シルフは笑顔で言った。
「そういや昔から風と遊んでるなんて言ってたな。」
シュウは頭の上で腕を組んだ。
「ふざけるな!何が風と友達だ!話が違うじゃないか…。」
ロベルトの言葉に、シュウは疑問を抱いた。
「話ってなんだよ?」
「お前には関係ない!が、まぁいい、冥土の土産に教えてやろう。」
ロベルトは不敵に笑った。しかし、その口から次の言葉が発されることはなかった。何故なら、泉から現れた大きな水の手により、ロベルトは泉へ引きずり込まれたからだ。二人は何が起こったのかが分からなかった。すると、先程まで苦しんでいた水の精霊が二人に話しかけた。
「ロベルトが油断して私への呪縛を説いた瞬間に、彼を泉へ引き込みました。」
「お前の仕業だったのか。」
シュウは少し残念そうだった。
「冥土の土産が聞けなかったものね。」
シルフは宥めるように言った。
「世の中には、知らない方が良いこともあるのです。」
水の精霊の言葉を、二人はいまいち理解が出来なかった。
「まぁいいさ。所詮大したことないだろうしな。」
シュウはそれで片付けることにした。
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