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「良かった!まだいた!」
ぜえぜえと荒い息づかいのアニーが泉に戻ってきた。
「どうしたんだよ?」
シュウは問うた。
「お父様がお呼びです。城にお戻り下さい。」
「城に?分かった。でもこっからじゃ城の場所が分かんねえから一緒に行こうぜ?」
「ええ。そのつもりです。」
アニーはそう言うと、くるっと後ろを向いた。二人もそれについて行こうとした。
「待って下さい。」
今度は水の精霊が二人を引き留めた。
「お城へ戻る前に、これを受け取って下さい。」
そう言うと、水の精霊は水色の宝玉を二人の前に差し出した。
「これは一体?」
シルフは問うた。
「かつてギガンテスに挑んだ英雄の、悲しみの心が結晶化した水の宝玉です。あなた方のお役に立つかは分かりませんが、これはあなた方が持つべき物だと思うのです。だから、是非受け取って下さい。」
「悲しみの心…。確かに何か悲しい想いが伝わってくる気がする。」
シルフは水の宝玉に触れてそう言った。
「それは言いすぎたろ。まぁ、ありがたく頂いておくぜ。」
シュウはそう言った。二人は水の宝玉を受け取り、アニーと共に城に戻るのだった。
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