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カッティは大樹を去り、港に向かった。カッティは行くあてもないので、とりあえず島を出ようと考えたのだ。
港に着くと、そこには見たこともない船が何隻も並んでいた。また、何人もの兵士が外に出ており、その中の一人、隊長のような男がカッティに話しかけてきた。
「すまんが、シュウとシルフという者を知らないか?」
「シュウとシルフ?あぁそれなら俺の親友だよ。」
「本当か!?ならその二人はどこにいる?」
「死んでいなかったらまだこの島にいるだろうな。それより、この船はみんなあんたらのもんか?」
カッティは逆に尋ねた。
「あぁそうだ。この船であの英雄の子孫であるシュウとシルフを我が城へお招きするのだ。」
男は胸を張った。
「へぇ。あの二人凄いなぁ。そうだ、俺もついでに船に乗せてくれよ?」
「何?」
男は明らかに困惑していた。
「頼むよ。俺が居たらあいつ等も安心するだろうし。」
「しかし、君が我が城に来たところで、一体何をするのだ。」
男は問うた。
「何をするってわけでもないけど、とりあえずこの島にはもう居たくないんだ。」
カッティの顔が一瞬曇った。
「この島にいたら、いろんな事を思い出しちまう。それに、早くみんなを安心して逝かせてやりたいんだよ。そのためには長くこの島にいるわけにはいかないんだ。」
カッティのその言葉に、男の顔が一瞬で引き締まった。
「お前、まさか精霊様を狙っているのではないだろうな?」
「精霊様?何のことだよ。俺はそんなもん興味ねえよ。」
カッティは肩を竦めた。
「そうか。ならば安心した。良かろう。君を我が船に乗せてあげよう。」
「マジか!サンキュー!」
カッティは男の手を握った。そしてカッティは船に乗り、城へと向かうのであった。
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