199人が本棚に入れています
本棚に追加
僕がママと過ごしたのはたったの2ヶ月。
すぐに僕はペットショップに売られたから、あまりよく覚えていない。
ただ、温かいぬくもりや、優しい声だけは心の奥底で覚えていた。だからどんなママだって優しくて温かいんだ…って信じてた。
ちぃが待ち焦がれたママ。
ちぃを置いてどこかに行ってしまったママ。優しいはずのママでさえ、ちぃを傷つける存在だった。
ママがちぃに会いに来た夜、ちぃはポツポツと僕に話をしてくれた。
今日会いに来たのはちぃの2番目のママ。ちぃは哀しそうな目で話す。
「ちぃのパパの再婚相手なんだ。ちぃの本当のママはね、ちぃの目のことを知っていなくなったの。礼於とおんなじ…。捨てられたのよ。」
僕の耳を撫でながら、ちぃは語り続ける。
「ママがいなくなって、あの人とパパは出ていった。大好きだったママの家にちぃだけ取り残されたの。」
「ちぃはね、誰にも拾ってもらえなかった…」
ちぃの言葉が哀しくて僕はちぃの胸に顔を埋める。
大丈夫…。
大丈夫だよ…。
そう言い聞かせるように寄り添って眠る。
たとえ世界中が敵に回っても、僕はきみの味方だよ。
「ずっと傍にいてね、礼於…。」
僕は尻尾を揺らして答える。
傍にいてほしいからじゃない。
僕が傍にいたいって思ったから…。
だからあの日傍にいようって決めたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!