ちぃの嫌いな参観日

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ちぃの嫌いな参観日

いつも元気に学校へ行くちぃの表情が、今日は何だか暗い。 今日は参観日。ママやパパが学校に来る日なんだ。 皆がそわそわして、恥ずかしいけど嬉しいような不思議な日なんだって。 でもちぃには見に来てくれるママもパパもいない。 ちぃ寂しいんだよね?僕が犬じゃなかったら絶対に参観日に行くのにな。 「じゃあ行ってくるね、礼於」 そう言ってちぃが出掛けてから数時間。 ピンポーンとチャイムが鳴った。 もしかしてまたあの意地悪なママが来たのかな…? 僕はちぃが僕のために開けておいてくれた抜け道からこっそり覗いてみる。 「おぉ、いたいた。礼於や、こんにちは。」 僕が上を見上げるとそこにはおじいちゃんがいた。 僕はびっくりした。いつもは、ヨレヨレの洋服を着たおじいちゃんが今日はスーツを着ている。 目を丸くしている僕を見て照れくさそうに笑う。 「いやぁ、久しぶりにスーツなんぞ着たら恥ずかしいもんだ。礼於にもびっくりされるとはなぁ。」 おじいちゃんは僕を見ると、にっこり笑って言う。 「この前ちぃがわしにこんなものを渡していってなぁ…。何も言わなかったが。」 そう言って僕に見せてくれたのは、参観日のチラシ。ちぃはやっぱり寂しかったんだ…。みんなにはママやパパがいて、ちぃにはいないんだ…って実感する日。それがちぃにとっての参観日。 「学校に聞いたら、あの子の家庭の事情を良くわかっていてなぁ。ほら、この前ちぃが礼於の絵を描いていただろう?家族だから礼於も特別に連れてきていいと言ってくれたんだよ。」 ほんとに!?僕もちぃの参観日に行けるの? 嬉しさで尻尾が勝手に揺れる。 ちぃの参観日。これでちぃに寂しい思いをさせなくて済むんだ! 僕はおじいちゃんに飛びついて早く行こうとせがむ。 待っててね、ちぃ。 僕頑張って大人しくしてるからね! 僕の頭の中は嬉しそうなちぃの顔でいっぱいになった。
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