7人が本棚に入れています
本棚に追加
「The next station is 🌕🌕🌕🌕」
繰り返されるアナウンスに呼応するように乗客達は動き出し、荷物を引っ張り出す。
私の通路側に荷物を置いていた人の邪魔にならないように、私はトランクを身に寄せ、窓側に縮こまる。
近くで作業していた体格のいい男性がこちらをみていた気がして、窓の外に視線をそらす。
私は今までよりももっと深々とレース付きの黒いハットをかぶり、銀に近い金色の髪で頬を隠す。
ドアが閉まり、次の駅名がアナウンスされる。
列車はまた緩やかに出発し、趣深い駅を後にした。
私はまた先ほどのように体をもたれさせうつむく。
ポケットからくすんだようなオレンジの手帳を取り出し、それをいちべつした後、私は今なぜ私がここにいて、何をしようとしているのかを思い出していた。
列車の心地よい振動に身を委ねてあれから数時間。私は酷い眠気に襲われていて、それを自覚した数分後には夢の世界を漂っていた。
最初のコメントを投稿しよう!