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「……」
俺は悩んだ。
今ここでの最善は、少しでも攻める事だ。
しかしこれは『闇のゲーム』。
シールドが割れると、本人が衝撃に襲われる。
しかも俺の力、決闘実体化能力が莉実を傷付けるかもしれない。
そんな事……俺には……。
出来ない。
「俺は……」
「ふーん、お兄ちゃんの『本気』はその程度だったんだね」
俺がターンエンドを言おうとした瞬間、莉実が言い放った。
その声色はとてつもなく冷たかった。
「さっきまで「私も瑞稀ちゃんたちも助ける」って思ってたんじゃないの? それなのに、私が傷付くって思っただけで止めちゃうんだね」
「……っ!」
莉実の言葉は、俺の胸に鋭く突き刺さった。
──そうだ。
俺は……ここで足踏みするわけには行かないんだ。
誰もが傷を追う事なく救済するなんて、何て甘い事を考えていたんだ。
今俺ができる事は…………例え、莉実を傷付ける事になってしまっても……命は救う事なんだ!!
「《アクア・カトラス》と《シンカイヤヌス》でシールドをブレイクッ!」
そして俺はついに攻撃の宣言をした。
二体のクリーチャーが莉実のシールドに突き破る。
俺は《アクア・カトラス》のカードを裏返しながら、カードを一枚引いた。
青藍の覚醒者アクア・エクスカリバー
水文明/10マナ/サイキック・クリーチャー/リキッド・ピープル/8000
このクリーチャーが攻撃する時、カードを1枚引く。
W・ブレイカー
「あは、あはははははははははははははははは!!!」
シールドが割れた事により、莉実が2枚分の衝撃に襲われた。
その瞬間、莉実が笑い声のような叫び声が上げた。
数秒後、その声が収まると莉実は片膝をついた。
「……それで良いんだよ、お兄ちゃん。私だけが攻めるんじゃつまらないもん」
フラフラと立ち上がりつつ、口元が裂けたかのように開かせた。
「い~っぱい殺し合おうね、お兄ちゃん♪」
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