憎悪の復讐者

16/34
219人が本棚に入れています
本棚に追加
/642ページ
事前準備をしつつも、出来たのは一枚のドロー……と考えれば地味に聞こえるが、戦線を広げつつも手札を損なわずに済んだのであれば十分だ。 オマケに次に火文明のクリーチャーを出せば、《シンカイヤヌス》が《ヤヌスグレンオー》に戻り、スピード・アタッカーを付与できる。 火文明の多いティラノ・ドレイクデッキには嬉しいクリーチャーなんだ。 俺はそんな事を考えながら、ターンを終えた。 現状でのシールドのブレイクは相手にアドバンテージを与えるだけ。 だから敢えて攻撃しなかった。 「ターンエンドだ」 「じゃあわたしのターンだね」 俺のエンド宣言を聞き、莉実はカードをドローした。 「《シークレット・クロックタワー》を唱えて、ターンエンドだよ」 シークレット・クロックタワー 水文明/2マナ/呪文 S(シールド)・トリガー 自分の山札の上から3枚を見る。その中から1枚を手札に加え、1枚を山札の一番下に戻し、残りの1枚を山札の一番上に置く。 莉実は手札と山札を操作する呪文を唱えただけでターンを終えてきた。 その対して動かない姿勢に、逆に恐怖を感じる。 ……妹にビビるとか、それでも兄か俺は。 俺は心に僅かに芽生えていた畏怖の感情を押し潰し、眉間に力を込めた。 「俺のターンだ!」 カードを引く。 手札は思ったより良くない。 ……仕方ない、本当はもう少し整えてからこいつを出したかったが。 そう考えながら、俺はクリーチャーを召喚した。 「《ソウルバイス・ドラグーン》を召喚だ!」 ソウルバイス・ドラグーン 闇文明/5マナ/ティラノ・ドレイク/2000 このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の他のティラノ・ドレイク1体につき1枚、相手は自分自身の手札を選び、捨てる。 場にティラノ・ドレイクがいればいる程、相手にハンデスをより課す事が出来るクリーチャーだ。 ……といっても、まだ《ガラティア》しかいないからハンデス枚数は一枚。《ノクターン・ドラグーン》以下なのだが、無いよりマシだ。 「捨てるのは一枚? じゃあ捨てるねー」 このクリーチャーを見た莉実は、大げさに首を傾げながら確認し手札を1枚捨てた。
/642ページ

最初のコメントを投稿しよう!