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事前準備をしつつも、出来たのは一枚のドロー……と考えれば地味に聞こえるが、戦線を広げつつも手札を損なわずに済んだのであれば十分だ。
オマケに次に火文明のクリーチャーを出せば、《シンカイヤヌス》が《ヤヌスグレンオー》に戻り、スピード・アタッカーを付与できる。
火文明の多いティラノ・ドレイクデッキには嬉しいクリーチャーなんだ。
俺はそんな事を考えながら、ターンを終えた。
現状でのシールドのブレイクは相手にアドバンテージを与えるだけ。
だから敢えて攻撃しなかった。
「ターンエンドだ」
「じゃあわたしのターンだね」
俺のエンド宣言を聞き、莉実はカードをドローした。
「《シークレット・クロックタワー》を唱えて、ターンエンドだよ」
シークレット・クロックタワー
水文明/2マナ/呪文
S・トリガー
自分の山札の上から3枚を見る。その中から1枚を手札に加え、1枚を山札の一番下に戻し、残りの1枚を山札の一番上に置く。
莉実は手札と山札を操作する呪文を唱えただけでターンを終えてきた。
その対して動かない姿勢に、逆に恐怖を感じる。
……妹にビビるとか、それでも兄か俺は。
俺は心に僅かに芽生えていた畏怖の感情を押し潰し、眉間に力を込めた。
「俺のターンだ!」
カードを引く。
手札は思ったより良くない。
……仕方ない、本当はもう少し整えてからこいつを出したかったが。
そう考えながら、俺はクリーチャーを召喚した。
「《ソウルバイス・ドラグーン》を召喚だ!」
ソウルバイス・ドラグーン
闇文明/5マナ/ティラノ・ドレイク/2000
このクリーチャーをバトルゾーンに出した時、バトルゾーンにある自分の他のティラノ・ドレイク1体につき1枚、相手は自分自身の手札を選び、捨てる。
場にティラノ・ドレイクがいればいる程、相手にハンデスをより課す事が出来るクリーチャーだ。
……といっても、まだ《ガラティア》しかいないからハンデス枚数は一枚。《ノクターン・ドラグーン》以下なのだが、無いよりマシだ。
「捨てるのは一枚? じゃあ捨てるねー」
このクリーチャーを見た莉実は、大げさに首を傾げながら確認し手札を1枚捨てた。
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