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「ユカが“ヘビ”を見えるようになったのはいつ?」
「うーんと、半年くらい前かな。ちょうどクラス替えを行ったとき・・・・・・新しい友達を作らなきゃ、作らなきゃってずっと心の中で唱えていたら―――ある時突然見えるようになったの。自分でもわけがわからなかったけど」
「なるほど、ね。」
響子と私は例の如く、放課後の教室で掃除当番をしていた。
「ヘビは自分の行動を強制的に制限させるものでもあるのよ」
そうか、だから「友達を作らなきゃ」と思うたびに体が締め付けられる感覚がしたのか。
「あなたはきっと、その思いに囚われすぎて、それがキッカケで“ヘビ”を見る力を目覚めさせてしまったのね」
「・・・・・・もう、もとには戻れないのかな?」
「どうかしら?」
彼女はとぼけた。
「響子は、いつからなの?」
「・・・・・・もうずーっと前からよ」
夕焼けに照らされた彼女の顔は、心なしか寂しそうだった。
「物心ついたときから、見えていたわ。みんな私と同じなんだと思ってた。
――でもそれは、違ったの」
「普通の人間に、“ヘビ”は見えない」
「・・・・・・私はね、このヘビが見えているのが自分だけなんだと知ったとき――どうしようもなく寂しくて悲しくて、一人ぼっちだったの」
それはそうだろう。
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