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「集団」というのは「異常」な存在に対していやらしいほど鼻が利くものなのだ。
・・・いや、外国ではどうか知らないが、少なくとも日本社会においては「出る杭は打たれる」のが常なのだ。
学校にいると、つくづくそう思う。
別に良いじゃないか。
何故、人の腹にヘビが見えるだけで仲間外れにされるのか――まったくもって、理解不能だ。
ホントにみんな、心が狭すぎる!!
・・・というのは冗談で、私も普通に戻りたかった。
しかしこの能力はなくならない。
だから“ヘビ”が見えないよう振舞っているつもりだったのだが、やはり皆からは「何か変だ」と勘付かれてしまったらしい。(ちっ!)
「もしかしたら人間は、“ヘビ”だけじゃなくて“犬”も飼っているのかもね!」
「プッ・・・あははははは!!」
私のギャグに、響子が吹き出した。
私も釣られて笑った。
こんなに笑ったのは久しぶりだった。
笑って笑って、笑い疲れたのか、響子は「あ~あ」とため息をつき、言った。
「・・・ある日、思いついたのよ」
「何を?」
「自分の中のヘビを操ろうってね。
これは私が飼っているヘビ。私のペットなのだから、自分で支配できるように、と。そして気がつけば、他人のヘビにも同じことが出来るようになったの。本当に、ほんの少しだけだけれど」
「自分と他人のヘビを操る者――それが『ヘビ使い』?」
彼女は微笑んだままうなずいた。
「きっと、私は“ヘビ”に近づきすぎたのね。だから貴女には、私の姿はヘビそのものに見えていたのでしょうね・・・」
「・・・・・・うん、ごめん」
私は素直に謝った。最初の頃、彼女の姿に怯えていたのは事実である。
「いいのよ」
しかし、響子は笑っていた。心の底から笑っているようだった。
「だってわたし達、もう“友達”でしょう?」
彼女の姿は未だに“ヘビ”にしか見えないが、そんな事はどうでも良かった。
彼女は私の大切な――
「そうだね、友達だもんね!」
私も心の底から笑って言った。
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