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・・・・・・後の方で、ため息が聞こえた。
「いるのよねぇ。こういう子。ヘビに縛られて身動きが取れなくなってしまう困った子。・・・・・・自分で飼ってる“ヘビ”なのにね」
パンパン、と彼女が手拍子すると、私の身体に重くまとわり付いていたそれが「スルリ」と抜けていった。
まるでロープのようだった。
「・・・・・・はあ、はぁ・・・・・」
身体を解放されて、私はその場に座り込んだ。
「―――大丈夫?」
あの女は近づいてきた。
「ごめんなさいね。脅かすつもりなかったのだけれど―――」
いやもう、十分驚いたし・・・。
「・・・・・・あなた、何者?」
「そうねぇ・・・・・・」
彼女はわざとらしく思案するかのようなそぶりを見せた。
「私のことは、そうね。“ヘビ使い”だとでも思ってくれればいいわ」
「ヘビ使い??」
天野響子は笑った。
「ヘビ使い」というよりは、ヘビそのものの目をして――。
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