ぶらり、11人旅。

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「知吾?やっぱり、ここにいたか…」 ある日、ある昼休みの、ある学校のある屋上。 「……。」 僕は本を読んでいた。 「今日は風が緩やかで、暖かいね。 …んで何の本、読んでんの?」 彼女に本の表紙を見せる。 「ゲーテ…の詩集? 借りるの何回目?」 この本は学校の図書室にあった物だ。 「…借りたのは21回目。」 と僕は言った。 「よく覚えてるね。 あ、今日は月に一回の詩集デーだったか。」 詩集デー。 それは、僕が勝ってに作った 詩集を月に一回読む日である。 「今度、朗読してよ~♪ ゲーテ~♪」 「…嫌だ。 だって千夏、朗読してるうちに寝ちゃうから。 …この前の人間失格も。」 前回は週に一回の文学デーで、 人間失格を千夏に朗読したのだ。 …開始5分で彼女は熟睡したが。 「詩集なら寝ないよ! …きっと。」 ガッツポーズをするが、 顔には冷や汗。 「……。」 僕は黙って、詩集に目を戻す。 「はぁ…相変わらずだなー…知吾は。」 喋るのが、面倒くさい。 と言うのもある。 …他の理由も。 なので僕は、あまり人と喋らない。 「とぉ~った♪」 突然千夏が、眼鏡を取った。 僕は遠視なので、近くが見えなくなった。 「…千夏。」 「知吾の堅物~♪」 「はぁ…ふざけるなよ。」 と言って僕はポケットから眼鏡ケースを取り出し、 中から赤褐色の眼鏡を出す。 「えっ!知吾、眼鏡2個も持ってたの!?」 「眼鏡はいつ壊れるかわからない。 から、5個は予備がある。」 「眼鏡取り上げた意味、ないじゃん…」 少し、しゅんとなる千夏。 「眼鏡を取る方が悪い。」 と僕は言った。 突然、千夏が 「知吾!」 と言って、屋上から飛び下りた。
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