†始まり†

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だが、この子は命をかけて妻が遺した子だ。 殺すことはできない。 ?「殺しはしない。だが、もう二度とオレの前に現れないように遠くへ送る。」 ―――――――――――――――――――――――――――― 男は何かを唱え始め、男と赤子の周りに光が集まり始めた。 ?「お前は生まれてくるべきではなかったんだ。この《化け物》がっ…もう二度と会うこともないだろう。」 詠唱が完了したようだ。 ?「最後の情けだ。あいつがお前に遺したこれを持たせてやろう。」 男はそうやって赤子の入った小さな籠にそれをいれた。 赤子は男が話している間、一度も泣かなかった。まるで男の言っていることを理解しているがのごとく…… ?「【転移】」 シュッ 赤子が消え、部屋には男の泣き声と女の遺体だけが残った。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― シュッ 赤子の入った籠はどうやら何処かの森の入り口に着いたようだ。 オギャアオギャア 赤子はまた泣き出した。 母親と父親と別れた悲しさを現すように……
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