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途切れそうになる意識を必死に繋ぎ留めながら走る西村は状況を理解しようとしていた。
しかし・・・・いくら考えても自分が襲われる理由が全く思い付かない西村はさらに混乱していく。
ここ数日ケンカ通りに通っていた西村は取材の際に教えてもらった゛横道゛を使い人通りの多い隣の通りに出ようと考えた。
・・・しかし、冷静さを欠いたこの状況で土地勘の無い脇道を利用したのは失敗だった。
進んだ先には大きな壁。いつの間にか追って来ていた佐中が後ろから近づいてくる。
「恨むならそんな厄介な能力を発現させたことを恨みなよ・・。」
「な・・・なんのこと?」
「は?たしか、『前途多難』(ヒッチハイク)だっけ?そんな危険な能力は学園都市にいらないんだ。」
「わ、私はただの低能力者です!!なんで・・・・こんなことされ・・ない、と・・・いけないんですかぁ!!!?」
気がつくと西村は涙を流しながら叫んでいた
しかし、そんな西村の様子にも佐中は
「そんなこと言れてもね・・。まあ、悪いけどこれで終わりだ。」
そう言って取り出したのは携帯型注射器だ。
そして、静かに西村に近づいていく。
「た、たすけて・・、」
目の前に迫る死の恐怖に西村は力の限り叫んだ
「誰か助けてぇぇぇーー!!!!!」
その声はケンカ通り中に力強く響き渡った。
そして・・・・
「よう、呼んだか?かわいいお嬢ちゃん」
・・・・英雄は現れた。
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