第1章 「前途多難」な日常

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私達は当初の待ち合わせ場所だった喫茶店に舞い戻っていた。 ・・・・・・私、ここでぶん殴られたんだけどな・・・。 そんなことお構いなしに北上は「とりあえずさっきの喫茶店で話さない?」と提案したのだ。 ・・・・・まあ、いいか。コーヒーでも飲んで落ち着こう、と無理矢理ポジティブに考えてみた それにしても・・・・・・、 未だに感じる謎の“違和感” 辺りが静かすぎる・・・というか人が全くいない。 この喫茶店もさっきまでは店員がいたのに・・今ではカウンターの奥にも人の気配はない 不気味さすら漂う空間にも関わらず、周りの異変について何か知っているのか北上は軽い調子のままで「俺がコーヒーいれてやるよ」と店の奥へと行ってしまった。 ・・・しばらくして、お盆に2杯のカップを乗せテーブルに帰ってきた北上は早速私に 「ここら一帯が“変”なのが気になってしょうがないみたいだな」と言ってきた。 「やっぱり!何か知ってるのね!?」 「まあ、知ってるといえば知ってるのかな」 「知ってるなら教えて!何で人がいないの!?っていうか何で私があんな危ないおじさんに襲われるわけ!!?」 私は思わず身を乗り出して北上に問いかける 「嬢ちゃん、俺が知ってるのは人がいない理由だけだ。」 そこで北上は一旦区切ると 「寧ろ俺が知りたいな・・あのおっさん、君のこと『前途多難』って呼んでたよね?そんな能力聞いたことないんだけど?」 ・・・・確かに能力自体は珍しいかもしれないけど 「私はただの“低能力者”なんだけどな・・・そんなに強い能力でもないし。」 北上は少し考え込むと 「・・・・確かに判定は低能力かもしれないが使いようによっては強力なものもある。結局、君の能力って何なの?」 「私の能力は・・・」
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