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卵焼きを取られた事で、俺たちの昼食は終了した。
これだけに時間を相当要したが、この後の俺のテンションに関わるんで良しとしてくれ。
「バドミントンなんて丁度良いじゃない、山下」
八尾がうなだれる俺に、にこっと笑顔を向ける。
おいおい、俺にそんな爽やかスマイル向けてどうしようってんだ。
騙されねぇぞ。
お前は絶対腹黒い。
どす黒い。
「そうだって!143戦目は白星頑張れよ!」
サエも楽しそうに俺を見た。
なるほど、そういう事か。
「よし、鈴木!!卵焼きの恨みだ!ボッコボコにしてやんよ!」
「………ボカロおたくめ」
嫌味なんか無視だ。
今はこいつをぎゃふんと言わしたい。
俺の卵焼きを胃に収めやがったこいつを(俺は根に持つタイプだ)。
俺と鈴木は同級生でクラスメート。
そして所謂、ライバルって奴で。
誰にだって長い人生の中、ライバルの一人や二人くらいいるだろ?
俺にとってはこいつがそうだ。
短いがサラサラの黒髪を、優雅に掻き上げながら足を組むのが様になる。
あ、イラッとした。
勉強出来て、顔も良くて、運動神経も抜群だと?
おまけに身長も高い。
表情は乏しいが、決して冷たいワケではないし、ムカつくくらいにフェミニストだ。
この嫌味の塊め!
「まぁ、お前が俺に勝てるならな」
ふ…と珍しい笑み(嘲笑だけどな)を零し、言い捨てやがった鈴木。
…絶対後悔させてやる。
そうして冒頭に至るワケだ。
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