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俺の居た時空とやらから悠と共に悠の時空へと跳躍してきた俺は、俺の知らない俺が住んでいたとされる悠の家で生活を共にする事となった。
此方へ来てからは不可解な事ばかりで気味が悪い…が、同時に懐かしさを覚える。
知らないはずのものを扱えたり、その存在を片隅で覚えていたり…少なからず、ここで生活を共にしていた事を俺自身が証明していた。
ここでの生活に慣れ親しんだ頃。
隣家である有川の家に呼ばれ元居た世界では平家の還内府とされた将臣殿と酒を飲み交わす事となった。
将臣「んで、悠とはどこまで進展したんだ??」
妖しい笑みでいて端的な物言いに眉を顰める。
泰衡「それを訊いて将臣殿に益があられるのなら特別にお教えしても構わないが」
将臣「利益とかねぇけど…ま、仲良くしてんのならそれで良いさ!」
泰衡「…」
この男…まだ悠に未練があるのか。
そう思っていると、将臣殿は苦笑いをして「取ったりしない」と一言、言った。
将臣「でも、お前が悠泣かせたら奪ってるかもな。悠の全てを」
泰衡「全てだと…?」
将臣「ああ、あの唇も身体も…心も全て」
泰衡「フッ……」
将臣「何がおかしい??」
泰衡「随分と自信がお有りのようだが…私に敵うとでもお思いか」
眉を顰めたまま言えば、瞬時に将臣殿は笑い出す。
将臣「わ、悪ぃ、けど…ぷっ…はははっ」
泰衡「…」
将臣「はは、冗談だから本気にすんなよな!ま、お前が自信たっぷりで直ぐに敵視するくらい悠が好きだって事はよーく分かったから!仲良くしろよー??」
…この俺がからかわれた…。
尚も笑う将臣殿。丁度、俺の酒がなくなったので苛々としたまま俺は立ち上がり悠の…俺達の家へと帰る事にした。
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