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将臣殿に酒の礼を言い、帰れば玄関先で悠が待っていた。
悠「あ…お帰りなさい、泰衡さん…」
俺が突然帰ってきたからか、目元を素早く拭い微笑む悠。
玄関先の照明で悠が泣いていた事には直ぐに気がついた。
泰衡「何故、泣いている…??何か…されたのか」
足を進めて悠に近寄りながら問う。
悠「っ…ち、違います…そんな事より、寒かったでしょう…??早く中n ――」
気がつけば、その行為が当たり前かのように強く抱き締めていた。
泰衡「"そんな事"で済ませられる程、浅はかな関係ではない」
悠「泰衡さんっ…」
俺の言葉で腰に手を回され抱き合う形に。
胸の中で泣く悠を依り一層、強く抱き締めた。
悠「泰衡さん、居なくなっちゃったかと思ったんです…、私…全然普通の女だから…愛想つかされて、綺麗な女の人に連れていかれたのかもって…」
泰衡「…全く…俺をどこぞの男と被せるな」
悠「だ、だって…――!!」
言の葉と共に俺を見上げる悠に無意識に唇を重ねた。
瞬間的に目を瞑っていたから分からないが、驚いて目を見開く様子が連想される。
悠の頭を支えるように押さえて、深い口付けへと変わった時だった。
後ろの方でどさりと買い物袋が落ちたような音が聞こえ我に返る。
悠「ぁ……//」
泰衡「っ…」
悔いたところで仕方がない。
ここは外で、誰に見られてもおかしくはない状態だったのだから。
だが、よりにもよって…
泰衡「神子、殿…」
悠「望、美…?」
望美「な、なな……!!//将臣くーん!!!譲くーんっ」
神子殿に見られるとは、想定外だ…。
まあ良い…これで悠が俺のものだと将臣殿にも分かる事だろう。
そうして自身の独占欲がいかに強いかを気付かされる一日となった…――
end.
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