6人が本棚に入れています
本棚に追加
現代、鎌倉 ――
異世界より帰ってきた澪は知盛と行動を共にする事が少なくなった。
現代では何もかもが男女で分かれてしまい、異世界で居る時よりも不便になったと言うべきだろうか。
何よりも、澪には両親の跡継ぎがあるが為に四六時中、一緒というわけにはいかないのだ。
勿論、知盛が不機嫌になる事は承知だが。
それでも一緒にはいられなかった。
とある日、澪に本当の休みが与えられた。
それと言うのも、部下の計らいで…
「今日は彼氏さんと仲良くしてくだせぇ!!後は俺がやっときます!俺ら、澪さんを応援してるっす」
と言われ渋々、後の仕事を一日のみ部下に任せる事となったのだ。
澪「…と、言われてもね…」
肝心の知盛は拗ねて起きない。
狸寝入りだという事は分かっているのだが、最近の知盛は澪が話かけても反応しないのである。
ご機嫌斜めな知盛を見て、そして何日も喋っていない事もあってか澪は無性に寂しさを覚えた。
澪「ごめん、知盛」
知盛「…」
本来、澪が謝るのは本当に珍しく、そして珍しい事には反応する知盛なのだが今回ばかりはそれもない。
澪「知盛…」
狸寝入りする知盛の背後に寝転び抱き締め名を呼ぶ。
それでも反応がなくて、澪は知盛の背に頭をつけ小さく愛してると呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!