26人が本棚に入れています
本棚に追加
ガッ!!!!!
背後に気を取られたせいで女は草蔓に足を取られ転倒してしまった。
切ってしまったのか足から血が流れ女は立ち上がる事が出来ない。
肩で息をしながら力を振り絞り体を持ち上げる。
その時気が付いた。
己の周りを松明が囲んでいる事に。
「その手ん中の物…こっちに渡せ。」
女は手に力を込めた。
「嫌だ…お前らなんかにこの子は渡さねぇだ!!!」
女は憎しみを込めた目で松明を持っている人々に向かって叫んだ。
「その赤子は幼鬼だ。
鬼となって我等を襲う。
そうなる前に殺さねばならぬのだ。」
「違うっ!!!!!
この子は我の子だ!!!!
人間を襲ったりしねぇ!!!!」
女は手の中に目をやった。
手の中には幼い赤子が幸せそうに眠っている。
「鬼の血は人間を襲う血だ。
その赤子もいずれ血に呑まれると言うのが何故分からぬ!?」
「最初から鬼は人間を襲ったりするような奴らじゃなかった!!!!
人間が鬼をそうさせたんだ!!!!
鬼に先に手出したんは人間だ!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!