第一の章

2/3
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「ここか...」 サスケは低い声でつぶやいた その建物は、一風変わった岩山の頂上にあった おおざっぱに言えば、岩山はお椀を地に伏せたような形をしていたが、途中で階段のように平らな部分があって、そこにはうっそうと木々が茂っているのだった このあたり、こうした岩山がいつくかあって、それらの麓は深い森に覆われていた その森の中から、サスケは、頭上の建物のをじっと見やった 建物はうちは一族が長年アジトとして使ってきたものだっだ だが、一族が壊滅同然の状況のになってからは、手入れされることもなく、荒れ放題で放置されていた サスケは鼻を鳴らした 滅びる運命の一族が、最後に殺し合うにはまさに絶好の場所ではないか? 近くで見ると、廃墟と言っていいありさまだった 壁の漆喰はいたるところではがれ落ち、床には崩れた内壁が石ころのように転がっている それらを踏みしめながら、サスケはイタチがいるだろう場所に向けて歩いていった あとわずかだ わずかで、願いがかなう 広間の奥の一段高くなった場所に、めざす男は座っていた 九尾をかたどったのだろう<狐>の文字が尾をあらわす図柄に囲まれた紋章背に、石造りの大きな椅子の上から、静かにサスケはを見下ろしている 「その写輪眼...お前はどこまで見えている」 サスケはきっと顔を上げ、相手をまっすぐに見返しながら答えた 「イタチ...アンタの死に様だ」 イタチはじっとサスケを見つめていたが、物思いにふけるように目を閉じ、すうっと顔を上げた 「俺の死に様か....」 その声はひどく静かだった うちはの人々を皆殺しにしたあの夜のように、その声、その言葉には一点の揺らぎもない それがひどくサスケのカンに障った 「では...」 その瞬間まで、イタチは大椅子から動くそぶりも見せなかった 「再現してみろ」 だか、その言葉が発せられたのは、サスケのすぎ右脇からだった イタチの姿はすでに大椅子の上ではなく、音も立てずサスケのそばにたたずんでいた サスケの口もとに余裕の笑みが浮かんだ かつて、イタチの業の前にただ恐れおののしくなかった少年は、そこにはいなかった ......
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!