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「ここか...」
サスケは低い声でつぶやいた
その建物は、一風変わった岩山の頂上にあった
おおざっぱに言えば、岩山はお椀を地に伏せたような形をしていたが、途中で階段のように平らな部分があって、そこにはうっそうと木々が茂っているのだった
このあたり、こうした岩山がいつくかあって、それらの麓は深い森に覆われていた
その森の中から、サスケは、頭上の建物のをじっと見やった
建物はうちは一族が長年アジトとして使ってきたものだっだ
だが、一族が壊滅同然の状況のになってからは、手入れされることもなく、荒れ放題で放置されていた
サスケは鼻を鳴らした
滅びる運命の一族が、最後に殺し合うにはまさに絶好の場所ではないか?
近くで見ると、廃墟と言っていいありさまだった
壁の漆喰はいたるところではがれ落ち、床には崩れた内壁が石ころのように転がっている
それらを踏みしめながら、サスケはイタチがいるだろう場所に向けて歩いていった
あとわずかだ
わずかで、願いがかなう
広間の奥の一段高くなった場所に、めざす男は座っていた
九尾をかたどったのだろう<狐>の文字が尾をあらわす図柄に囲まれた紋章背に、石造りの大きな椅子の上から、静かにサスケはを見下ろしている
「その写輪眼...お前はどこまで見えている」
サスケはきっと顔を上げ、相手をまっすぐに見返しながら答えた
「イタチ...アンタの死に様だ」
イタチはじっとサスケを見つめていたが、物思いにふけるように目を閉じ、すうっと顔を上げた
「俺の死に様か....」
その声はひどく静かだった
うちはの人々を皆殺しにしたあの夜のように、その声、その言葉には一点の揺らぎもない
それがひどくサスケのカンに障った
「では...」
その瞬間まで、イタチは大椅子から動くそぶりも見せなかった
「再現してみろ」
だか、その言葉が発せられたのは、サスケのすぎ右脇からだった
イタチの姿はすでに大椅子の上ではなく、音も立てずサスケのそばにたたずんでいた
サスケの口もとに余裕の笑みが浮かんだ
かつて、イタチの業の前にただ恐れおののしくなかった少年は、そこにはいなかった
......
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