賢人の戦い

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 ――おお、神よ。あなたの存在は偽りであったのか。  彼の声が尽きたその時、雷鳴がやんだ。  一陣の風が吹くと雲は流され、光が辺りを照らした。  ――私を蔑み、詰り、世界を憂うその言葉、その声、  しかとこの耳で聞き届けたぞ。  光に包まれ賢人はかく言う。  ――神よ! やっと現われたな!  声だけなれど、もう一度問おう。  なぜ、苦しむ人々を救わぬのか。  ――貴様ら人間が我らの懊悩を知らずに何を言うか。  我らが存在は支配の象徴と自由の鎖に過ぎぬのだ。  されど、下らぬ思い込みにより人間の為にあると思うている。  ――我ら神は人間如きの為に存在するのではない。  あらゆるものへ平等に存在するのだ。  自分らを特別な存在などと思い上がるな。  少しばかり知恵を付け、賢き者へとなったつもりで何をほざくか。
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