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神の憤怒に満ちた声が、大地を震わせ、
遥か彼方の三千世界へも轟かんばかりに響き渡った。
――聞け! 矮小な魂よ。
貴様の自惚れた精神を、卑しき知恵を、
愚物なる人間どもへの戒めとす。
永遠の生命の中で己の愚かさを知り、
果て無き苦悩を彷徨うがいい。
大地が静まると天から稲妻が降ってきた。
稲妻は賢人を貫き、一瞬の光が発せられた。
その雷は強烈であったため、辺り一様のものは気を失った。
気が付くと賢人は跡形も無く消え去っていた。
斯くて賢人は永遠の生命を与えられ、
永遠という終わりの無い世界で苦悩を、
常人には知ることの出来ないものを、
常しえに味わうこととなった。
その賢人は今は何処かにあるという古き城に、
一人で誰に会うでもなく住んでいると聞く。
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