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2087年、満芝重工が人体を一から造り上げることに成功。
しかし、人工生命は物理的に強靱であったが、精神面の育成が上手くいかず不安定であった。
実験中に死傷者が出たため製品化はおろか、精神育成法が組み立てられるまで事業は一時凍結となった。
満芝重工が人工生命体を造り上げてから三年後、東藤電機が人間の思考や感情を電子情報に変換し保存する方法を発見。
四年後、安全に施行且つ、読取りの精度を向上させ、一個人を複製するまでの技術を確立させる。
これにより既存の人工知能の性能を大幅に引き上げることが可能になると予測された。
この報道に特に関心を寄せたのは満芝重工だった。
精神というものは単純に統計・収集した資料を詰め込んでも上手く機能しなかったのだ。
《経験を積まないと精神は生まれてこない》
それをどういう手段で成長させるか、重い課題となっていた。
同時に東藤電機側が目を付けたのは数年前に事業が凍結され、その後の続報がない満芝重工の人工生命体だった。
既存の形式化された人工知能に、この新技術を注ぎ込んでも成果が見られにくいと考えていたのだ。
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