変革

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 東藤電機の報道が落ち着き始めたころ、満芝重工は極秘裡に東藤電機と接触を図った。  どちらも独立企業国として成り立つことが可能なほどの複合型大企業である。  現在、事業内容で競争関係にあるのは金融のみで、他のほとんどは技術提携を結んでいたりする。  その巨大企業二社が互いの社運をかけた一大新事業で新たに技術提携を組むとなると、もはや合併と何ら変わらなかった。  実際、これ以上は提携のみでは限界というところまで来ていたため、お互いに合併案を考えていた。  また、この二大企業は国から特別待遇を受けており、社内は治外法権と化し、黒い噂が絶えなかった。  もちろんそれに対する反発や批判は多いが、独自の路線を行く業務は行き届いたものであり、また、多大な悪影響を与えてるわけでもない、むしろ税収面などで国にとっては必要不可欠な存在であるため、政府からは余程の事がない限り何も言えない状態であった。  それゆえ公式に声明を発表したなら、政府は国家転覆の危機を恐れ、何かしらの行動を起こすと見られたため、秘密裡に接触したのである。
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