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「あっあの…失礼します…」
か細い声で入ってきたのは沢田綱吉だった。
「珍しいね…君がここを訪れるなんて」
表情を変えることなく冷たく言い放つと、綱吉はモジモジしながら何やら言いたそうにしていて、しばらく経てば意を決したのか後ろに隠していた紙袋を雲雀に差し出した。
「こっこれ!!
受け取ってくださいっ」
彼が差し出したのはおそらくチョコレートだろう。
「母さんに教わって初めて作ったんで美味しくないと思いますけど…」
「校内に飲食物は持ち込み禁止のはずだけど…
咬み殺されたいの?」
綱吉を睨み付けながら言うと、泣きそうな顔をして話した。
「すみません
でも、どうしても雲雀さんに俺の気持ち受け取ってもらいたくて」
その言葉を聞いて、どう返していいか分からなくなった雲雀は少々黙っていた。
「…僕、甘いもの苦手なんだ
早く帰ってくれないと咬み殺すよ?」
嘘だ…
本当は甘いものが苦手な訳ではないが、つい言ってしまった。
「そっそうだったんですか…
すみませんでした」
綱吉は涙を隠すように後ろを向いて立ち去ろうとしたが、その瞬間彼のオーラが変わった。
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