大罪の神父

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「ウッド保安官か」 地を這うかのようにズッシリと重い、鈍器のような声が聞こえた。 その低い声の主は、この村の黒幕と言っても過言ではない男である。 その声を聞くウッドには、ウッドを蔑む気持ちと、嘘をつくなという半ば脅迫めいた気迫を感じさせた。 壁越しにいるのは6、70歳の老人であるのに。神父という肩書きさえなければただの爺。その辺の村人と変わりない。 それなのにである。保安官であるウッドは、まるで怯える犬のように、きゅんと縮こまっていた。 「凄腕のガンマンが、この町にやってきました」 「それで?」 「そのガンマンが……宝の地図を持っています」 「浮浪者でも持っているだろうそんなもの」 神父は静かに笑った。 だがウッドは詰め寄るように言った。 「今までのように漠然とした宝の地図ではありません。印がつけられています」 バレンタイン神父はその言葉に息を呑んだ。 ウッドはじっと壁越しの神父を見つめている。 しばしの沈黙を打ち切ったのは、バレンタインの笑い声だった。 「くくく…この期に及んでまだ宝探しか。ユダめ。 神からもらった命を危険に晒すとは。とことん恩知らずな連中だな」 「ごもっともです」 「そのガンマンに近づくんだ。まだ殺すな。神に召される前にまだこの世に奉仕をしてもらおうじゃないか」 「わかりました」
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