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「おお、ウッドか」
グラス片手に陽気な声をかけるこの男、彼がこのバーの主人であるボブだ。
太り気味なお腹を寄せながら、狭いバーから出てきた。
「どうしたんだい。こんな昼間から」
「客は?」
「いつもの通りさ。顔なじみしかこねぇ……いや、二人ほど知らねぇやつが来てたな」
「どこだ?」
たぷたぷしたあごを触りながら、物珍しげに見るボブの目線の先に、ブラックはいた。
ブラックは相変わらず無愛想に、グラスを片手にカウンターの酒を眺めていた。
「ボブ、あっちいってろ」
鼻の下の髭を触りながらそう言ったウッドに、ボブはなにか異様な空気を感じた。
ウッドがちょび髭を触るときは、どうも何かが起きるらしい。ボブはバーといった職場上、そういった村人の仕草を覚えてしまっていた。
「マック。やつを適当にあしらえ。実力をしりたい」
「殺されそうになったら?」
「そんときは好きにしろ」
マックはいやらしい笑みを浮かべた。
ウッドはそんなマックを横に、淡々とブラックを見つめていた。
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