早撃ちマック

4/7
前へ
/20ページ
次へ
「おお、ウッドか」 グラス片手に陽気な声をかけるこの男、彼がこのバーの主人であるボブだ。 太り気味なお腹を寄せながら、狭いバーから出てきた。 「どうしたんだい。こんな昼間から」 「客は?」 「いつもの通りさ。顔なじみしかこねぇ……いや、二人ほど知らねぇやつが来てたな」 「どこだ?」 たぷたぷしたあごを触りながら、物珍しげに見るボブの目線の先に、ブラックはいた。 ブラックは相変わらず無愛想に、グラスを片手にカウンターの酒を眺めていた。 「ボブ、あっちいってろ」 鼻の下の髭を触りながらそう言ったウッドに、ボブはなにか異様な空気を感じた。 ウッドがちょび髭を触るときは、どうも何かが起きるらしい。ボブはバーといった職場上、そういった村人の仕草を覚えてしまっていた。 「マック。やつを適当にあしらえ。実力をしりたい」 「殺されそうになったら?」 「そんときは好きにしろ」 マックはいやらしい笑みを浮かべた。 ウッドはそんなマックを横に、淡々とブラックを見つめていた。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加