早撃ちマック

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「よう、よそ者」 ブラックは声のする方に目をやった。 「おう。あんただあんた。この村に何しにきたんだ?」 「旅の途中で立ち寄っただけだ」 淡々と無愛想に答えるブラックとは対照的に、明るく陽気に、しかしどこか嫌みたらしくいうマックはさらに毒づいた。 「入り口で一人殺したらしいな。あんな奴殺したぐらいでいい気になるんじゃねえよ」 「……弱い犬ほどよく吠える……」 「んだと!?」 血の気盛んなマックが弱い犬と言われ、黙っているはずもない。 彼はウッドの言葉も忘れ、すかさず拳銃を引き、ブラックのはらわたに風穴を空けようとした。 が、彼が拳銃を取り出す寸前。誰が発したかもわからぬ銃声が酒場に響き渡った。 かと思えばマックの右手に拳銃はなく、おびただしい量の血が流れているだけである。 引き抜いたはずの拳銃はなんと既にホールの真ん中に落ちていた。 「俺は今、殺したい気分じゃない。それがたとえ筋肉おばけや、弱い老犬だとしてもだ」 「きっ…貴様っ!」 ウッドの目にはこの光景は嫌にでも焼き付いた。 それと同時で脳裏に浮かんだ名前と目の前にいる男が同一人物であることの確信を掴んだ。 「ブラック……ジェイムズ・ブラックか!8つの町を潰した男……伝説のガンマン……!」
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