早撃ちマック

6/7
前へ
/20ページ
次へ
「お前……ブラック、ジェイムズ・ブラックだったか」 ウッドは拳銃をブラックに向け、目線を逸らそうとせず、怯えと憎悪が入り混じった、複雑な目で彼を見ていた。 「8つの町を潰しただけじゃあねぇ。死の商人"P"をやったのもお前だろ……?」 銃口はまだ静かに彼に向けられている。その冷たさに大体の人間は少なからず同様を見せるが、 ブラックからはそのような気配が少しも感じられなかった。 「しかもそれだけじゃねぇ……"鉄道王"ウィンストン知事殺しの犯人……っ!」 マックは地面にへなへなとへたり込んでいた。 酒場の空気もさらに凍り付いた。 知事を殺した男。そんな話を聞き、半ばショックを受け、うつむき加減にウッドの話を聞いていた。 かつて、西部開拓と北部友好と称して四方八方に鉄道を敷き、州の民から絶大な人気を誇ったウィンストン知事。 そんな男を殺した男。州兵から追われることはおろか、どんな筋から恨みを買ってるかもわからぬ男。 マックはまざまざと経験値、力の差を見せつけられたような気がした。 「あの鉄道王を殺った男だ。有名になるのも無理はねぇ…… この町に何しにきた!?」 ウッドの口調が激変した。 ブラックはそんなウッドをジッと見つめている。この沈黙を破ったのは、ウッドだった。 「宝探しだ」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加