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「お前……ブラック、ジェイムズ・ブラックだったか」
ウッドは拳銃をブラックに向け、目線を逸らそうとせず、怯えと憎悪が入り混じった、複雑な目で彼を見ていた。
「8つの町を潰しただけじゃあねぇ。死の商人"P"をやったのもお前だろ……?」
銃口はまだ静かに彼に向けられている。その冷たさに大体の人間は少なからず同様を見せるが、
ブラックからはそのような気配が少しも感じられなかった。
「しかもそれだけじゃねぇ……"鉄道王"ウィンストン知事殺しの犯人……っ!」
マックは地面にへなへなとへたり込んでいた。
酒場の空気もさらに凍り付いた。
知事を殺した男。そんな話を聞き、半ばショックを受け、うつむき加減にウッドの話を聞いていた。
かつて、西部開拓と北部友好と称して四方八方に鉄道を敷き、州の民から絶大な人気を誇ったウィンストン知事。
そんな男を殺した男。州兵から追われることはおろか、どんな筋から恨みを買ってるかもわからぬ男。
マックはまざまざと経験値、力の差を見せつけられたような気がした。
「あの鉄道王を殺った男だ。有名になるのも無理はねぇ……
この町に何しにきた!?」
ウッドの口調が激変した。
ブラックはそんなウッドをジッと見つめている。この沈黙を破ったのは、ウッドだった。
「宝探しだ」
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