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辺りはどよついた。
またあの悪夢のような日々が蘇る……と。
誰しもがそう思った。感じた。そう感じない者はいなかった。
ブラックのその発言は、それ程重く冷たいものだったのだ。
だがウッドはそんな回りをよそに話を続けた。
彼はブラックが宝探しに来ていることなど百も承知しているから冷静にいられたのだ。
「宝探し?くくく……馬鹿げている。これまで何人の人間が死んでいったかわかるか?闇雲にこの荒野に足を踏み入れてみろ。お前を追っている州兵に殺され、干からびるのがオチだ」
「南軍の怨霊に殺されて干からびるかもな」
ウッドは眉をひそめた。ブラックはまだ真っ直ぐと彼を見ている。
「……かもな。まぁどちらにせよ貴様は死ぬ。数日後にはな」
「あんた占い師か?」
「統計学者だよ」
ウッドは軽く微笑んだ。嫌みたらしいその笑いをつまみにブラックはまた静かに酒を飲みだした。
その時である。
酒場の外、大通りから馬の走る音が聞こえてきた。
一匹二匹の次元ではない。もっと大量、大勢の馬が走る音。
酒場のドアが勢いよく開く。ネモが顔を真っ青にし、汗にまみれたその口を大きく開けてこう叫んだ。
「ギャングだ!ギャングが来た!」
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