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ギラギラと照りつける太陽。果てしなく続く大地。
ここはまさに地獄。歩く者皆苦しめる、灼熱の無限地獄なのだ。
その果てしなき道を歩く1人の男。
砂埃が靴を汚す。服を汚す。顔を汚す。
顔は脂汗でてかり、ぐちゃぐちゃになったタバコを取り出し、眉間にシワを寄せながら火をつけている。
その眉間には汗が一筋流れていた。
村が見えてきた。ペネロペ村である。
金塊が眠る"地獄の荒野"付近に唯一ある村。金銀財宝を狙う荒くれ者の溜まり場。
だが今はそこまで賑わっている様子はない。
村の入り口には1人の男が立っているだけだ。
「なにしにきた」
男は遠くを見ながら話しかけてきた。
そしてタバコをふぅと吐き出すと、じっとブラックを見つめた。
「答えたくないか……まぁ大体ここに来た理由はわかる」
そういうとタバコに火を付け、今度はブラックを睨みつけた。
「この村に入るには保安官の許可がいる。わかるか?」
質問しても答えないブラックに対し、男は次第に苛立ちを隠せなくなってきた。
ブラックもその事に薄々感じていた。
スッと腰にかけた拳銃に手を伸ばした。
「おいおい正気かよ」
男もすかさず拳銃に手を伸ばす。
が、すでに遅かった。
拳銃を伸ばした手に、鉛玉が撃ち込まれた。
「ちっ!」
その直後、左手、右足、左足と順に撃ち抜かれていた。
瞬く間の早撃ち。男は拳銃を引き抜く間もなく四股が使えなくなってしまったのだ。
地面に顔を付けた男。激しくなる鼻息、血、汗。顔は砂まみれになっていた。
そんな男にブラックは言う。
「これから許可をもらいにいく」
男は死んだ。何か言いたげだったが、何も言えずに死んだ。
ブラックを尻目に、無様にも地面にへばりついていたのだった。
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