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教室に入ると、視線が一斉にこっちに集まった。決してみんなが傾きの彼が来た事を察知したからではない。
まだみんな馴染めていないようで、ほとんど会話もなく教室内には重い空気が漂っていた。
気まずいなぁ、そんな事を考えた時だった。
ゴンッ
俺の右を歩いてた傾きの彼がドアに頭をぶつけた。
まだこっちを見ていたみんなが今の光景を見逃すはずもなく、何人かは堪え切れず吹いてしまった。
隣りにいた俺はというと、何故だか俺まで恥ずかしくなって思わず顔を背けた。
当の本人は
「どうやら初日から恥をかいてしまったようだね」
と笑いながら、恥ずかしげに頭を掻いていた。
何かイラッとした。
気を取り直し教室に入り自分のイスに座り周囲を見渡すと、さっきの重い空気が嘘かのように明るい空気になり、チラホラ話している人さえいた。
…してやられたな。
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