1戦目 契約

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士郎は逃げ出した。 (怪しい奴だが、危ないことも確かだ!) 先程まであの巨漢と対等に戦っていたなら、士郎よりの遥かに強いことがわかる。 (と、取りあえず逃げないと!) 士郎は形振り構わず逃げた。 どのくらい走ったか、もう限界だった。 「はぁ……はぁ……はぁ……」 士郎は周りを見た。 いつの間にか校舎内に逃げ込んでいた。 「こ、ここなら……」 「ここなら大丈夫、と?」 目の前から声がした。 見ると、そこにはいつの間にか士郎の前にいる、あのコートの男がいた。 「わあぁ!!」 驚きのあまり、転んでしまった。 「よく鍛錬されているな。あれだけ走れるとは」 コートは拳を振り上げた。 「正直、子供を殺すのは嫌いなんだが」 一瞬にして士郎の鳩尾に拳が移動していた。 「見られたら消さなければならないのだ」 身体中から骨の折れる音がした。 それだけではない、内臓が潰される音までもがした。 士郎は吐血し、倒れた。
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