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士郎は逃げ出した。
(怪しい奴だが、危ないことも確かだ!)
先程まであの巨漢と対等に戦っていたなら、士郎よりの遥かに強いことがわかる。
(と、取りあえず逃げないと!)
士郎は形振り構わず逃げた。
どのくらい走ったか、もう限界だった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
士郎は周りを見た。
いつの間にか校舎内に逃げ込んでいた。
「こ、ここなら……」
「ここなら大丈夫、と?」
目の前から声がした。
見ると、そこにはいつの間にか士郎の前にいる、あのコートの男がいた。
「わあぁ!!」
驚きのあまり、転んでしまった。
「よく鍛錬されているな。あれだけ走れるとは」
コートは拳を振り上げた。
「正直、子供を殺すのは嫌いなんだが」
一瞬にして士郎の鳩尾に拳が移動していた。
「見られたら消さなければならないのだ」
身体中から骨の折れる音がした。
それだけではない、内臓が潰される音までもがした。
士郎は吐血し、倒れた。
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