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人だった。
紫のセミロング。黒い角が頭の左右に生えている。そう、小学校低学年の女の子が巫女服を着て出てきた。
「……」
「……」
士郎とコートの男は絶句した。
あらゆる意味で。
「え、えーと。あなたがボクのマスターなのですか?」
女の子は士郎に聞いた。
「ま、ますたー?」
「ボクを呼んだ人、ということです」
士郎は彼女が何を言っているのか理解できなかった。
「君、そこをどきたまえ」
コートの男が女の子に近づいた。
「あ、あうあう~」
女の子は泣きそうな顔をして、頭を手で守るような格好をした。
「……」
コートの男の動きが止まった。
「あうあうあう~」
「……」
しばらくして、コートの男は踵を返した。
「命拾いしたな少年。俺は帰る」
そう言い、コートの男は消えた。
それと入れ替わりに、
「とう!」
巨漢が降ってきた。
「お、お化けですー!お化け嫌いですー!!」
女の子が士郎に抱きついて泣き出した。
「んま、失礼しちゃうわね。こんな美人で貧弱なアタシを見てお化けなんて」
巨漢はクネクネしながら怒っていた。
士郎は直視できなかった。
したら、吐きそうであるからだ。
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