1戦目 契約

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「衛宮くん、大丈夫?」 巨漢の後ろから声がした。 聞き覚えがあった。 「と、遠坂!!」 学校のアイドルで士郎の憧れ遠坂凜(とおさかりん)だった。 士郎は凜に事情の説明を受けた。 何年かにある聖杯を賭けた戦いが今起こっていること。 巨漢や現れた女の子は使い魔、サーヴァントと言われるのも。 などの基本的なものだった。 「なるほど。それで、遠坂はマスターなんだな」 士郎は先程説明を受けた左手の令呪を見て言った。 「え、ええ。そうよ」 凜は微妙な顔をした。 確かに、あんな巨漢が使い魔なのは抵抗がいる、と士郎は思った。 「えっと、アーチャーだったか」 士郎が巨漢に話しかけた。 「イヤねぇ。そんな風に呼ばれるは好きじゃないわ。貂蝉と呼んで」 その名を聞いて士郎は驚いた。 「貂蝉って三国志の!!」 「……」 凜が頭を抱えた。 三国志の美女。それがこの巨漢。 「た、確かにな…」 士郎は納得した。 凜からサーヴァントの真名は重要と聞かされていたが、この貂蝉なら問題外であった。 凜もそう言っていた。 「それじゃ、その子のクラスを教えてくれる?」 凜が士郎の隣でプリンを食べている女の子を指差した。 「ボクですか?ボクはセイバーです。名前は羽入というです」 「……」 「可愛い名前ねぇ」 士郎と凜はため息をついた。 羽入は自己紹介を終えたと思い、プリンをまた食べ始めた。 「何でこうなったんだか……」 士郎は羽入と貂蝉を見てため息をついた。
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