表裏

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答案を見ながら歩いていると、向かいからの歩行者に、肩がぶつかった。 「あ、すいません」 光は、相手に謝った。 だが、その人物は光に掴みかかった。 「おい兄ちゃん!どこに目つけて歩いてんだ?」 相手は、黒いスーツにサングラスをかけている。 良い人柄ではないのは、明らかだった。 「ホントに、すみません」 光は、必死に謝った。 「いってぇなぁ。左肩が折れちまったみてぇだ」 じゃ、なんで左手で掴みかかってくるんだ。 「これじゃあ、慰謝料払ってもらうしかねぇなぁ」 「そんな…。 今、お金持ってないんです」 「そんなワケねーだろ」 ヤクザは、光をつき倒した。 そして、光のポケットから財布が落ちた。 「もってるじゃねーか」 ヤクザは、財布を取り上げた。 「やめてください! それは、大事なお金なんです」 光は、ヤクザの足にしがみついた。 「うるせえ!黙ってろ!」 ヤクザは、光を蹴り飛ばし、財布から札を抜き出した。 「たった、五千円ぽっちかよ。 なにが、大切な金だ。」 ヤクザは、何度も光を蹴りつけた。 なんで、僕ばかりこんな目にあわなくちゃいけないんだ…。 そう思いながらも、意識は遠退いていった。
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