表裏

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退院してから数日が経った。 特に、後遺症もなく、普段の生活に戻ることができ、学校にも行けるようになった。 だが、正直、学校に行きたくなかった。 学校に行っても、毎日毎日、同じことの繰り返し。 病院のほうが、マシだったかもしれない。 光が、事故に遭ったって心配する人もいなかっただろう。 しかも、最近は変な夢を見るようになった。 もう1人の亡くなった人に襲われる夢だ。 顔や体格すら覚えていないが、彼の身体は、闇に包まれたように真っ黒だった。 そして、その闇に飲み込まれる。 そんな夢を度々見るようになった。 このことを宮田に話した方がいいのか。 だが、たかが夢である。 事故のショックだ、と言われてつき帰されることは目に見えている。 光は、話すことを諦めた。 そして、重い足取りで学校へと向かった。 何も知らないまま。
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