prologue

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「おい、成功したのか?」 外に出ると、他の研究仲間が声をかけてきた。 「あぁ」 放心状態の自分の代わりに、彼が答えてくれた。 「まいったわね……」 「ね?……私達には出来なかったのに…」 「科学者として悔しく思うよ」 「はははは、俺らの力じゃないよ」 仲間は純粋に喜んでいるようだ。 「あ、あぁ」 しかし、このとき自分はこの事態を手放しで喜べなかった。 「それでもすごい成果だ」 「まあ、うれしい事には代わりないが」 「そうだな……」 そう、今は喜ぼう。 喜べるうちに喜ぼう。 いつか喜べなくなる日が、 この報いをうける日が、 来るのだろうから。
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