NIGHTBAR WHITED

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「お待たせ~…。そう言えばマスターが変なこといってたような気がする」 裏から制服の白カッターに黒の蝶ネクタイ、黒のスラックスに同色の腰エプロンを巻いた渉が、そう言いながら出てきた。 「変なことって何だよ」 グラスを全て拭き終えた俺は、最後のそれを棚に戻しながら渉に問いを向けた。 「ん~…ホストがどうとか、かんとか…」 「要は覚えてないんだな?」 「ソウナリマスネ」 「ちっ…」 あからさまな舌打ちをしてみせれば、渉が何か言い返そうと口を開きかけた。 「はい、ストップ。とりあえず、ワタル君とヨウスケ君、何か飲む?」 「あ、いただきます」 俺らの会話を静かな笑い声と共に聞いていたハルカさんが口を開いた。 この店では、稀にだが客からアルコールを勧められることがある。それに応じて飲めば、そのアルコールの値段の3割が給料にプラスされる。 「ありがとうございます!遥丞!俺、ハルカさんと同じの」 「了解。じゃあ俺もバーボン、いただきます」 「どーぞ。あ、俺もお代わり。一緒に乾杯しようか」 ニッコリ、その形容がピッタリ当てはまる笑みを見せながらハルカさんは俺にグラスを渡した。 ━━━━少しだけ、嫌な予感がした。
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