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つわりが始まった。
立っているのも、寝ているのも辛かった。
家の事は、全部浩介にまかせっきりになってしまった。
「浩介さん、ごめんね。何も出来なくて。」
「静香は、気にしないで自分と子供の事だけ考えていればいいよ。」
仕事も忙しいのに、洗濯や、掃除、食事の世話までしてくれた。
そんな浩介を見て、静香は幸せだった。
浩介と結婚して、お互いに思いやる事の大切さを知った。
宗一郎との結婚では、それが失敗の原因だったのかも知れない。
お互いを思いやれずに、自分勝手に行動していた。
「浩介さん、大好き。」
静香の不意打ちで、浩介は洗濯物を干す手を止めた。
「な、なに、いきなり(笑)」
照れながら、嬉しそうな浩介。
人には、それぞれ相性というものがあると、最近つくづく思う。
どんなに好きでも、うまくいかない場合もある。
まだ考えが幼かった頃は、大人の恋愛映画や、ドラマを見て、好きなら、別れなきゃいいのにって、思っていた。
だけど、好きでも、うまくいかない事もあることを、大人になって知った。
だからなおさら、浩介との事は、神が与えた奇跡のように感じる。
「妊娠中、エッチできないけど、浮気しないでね。」
静香がそう言うと、浩介は静香の手をギュッと握り締めた。
「絶対にしない。静香を愛しているから。俺を信じて。」
「うん、信じてる。」
そう言うと、浩介は静香にキスをした。
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