出産

2/4
前へ
/98ページ
次へ
つわりが始まった。 立っているのも、寝ているのも辛かった。 家の事は、全部浩介にまかせっきりになってしまった。 「浩介さん、ごめんね。何も出来なくて。」 「静香は、気にしないで自分と子供の事だけ考えていればいいよ。」 仕事も忙しいのに、洗濯や、掃除、食事の世話までしてくれた。 そんな浩介を見て、静香は幸せだった。 浩介と結婚して、お互いに思いやる事の大切さを知った。 宗一郎との結婚では、それが失敗の原因だったのかも知れない。 お互いを思いやれずに、自分勝手に行動していた。 「浩介さん、大好き。」 静香の不意打ちで、浩介は洗濯物を干す手を止めた。 「な、なに、いきなり(笑)」 照れながら、嬉しそうな浩介。 人には、それぞれ相性というものがあると、最近つくづく思う。 どんなに好きでも、うまくいかない場合もある。 まだ考えが幼かった頃は、大人の恋愛映画や、ドラマを見て、好きなら、別れなきゃいいのにって、思っていた。 だけど、好きでも、うまくいかない事もあることを、大人になって知った。 だからなおさら、浩介との事は、神が与えた奇跡のように感じる。 「妊娠中、エッチできないけど、浮気しないでね。」 静香がそう言うと、浩介は静香の手をギュッと握り締めた。 「絶対にしない。静香を愛しているから。俺を信じて。」 「うん、信じてる。」 そう言うと、浩介は静香にキスをした。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

638人が本棚に入れています
本棚に追加