愛に飢える

出産

つわりが終わり、安定期に入り、あっという間に出産の日を迎えた。

今度は陣痛に襲われた。

こんなに痛い思いをして、母は自分を産んだのかと思うと、初めて、母親の偉大さに気付かされた。

出産にかかった時間は12時間。

その間、何度も苦しくて、あきらめそうになった。

だけど、そのたび、浩介の励ましがあって、無事出産する事が出来た。

子供は、男の子だった。

名前を祐介と名づけた。

おさるさんのようにしわしわだった。

だけど、小さな手に触れた時、力強く手を掴んだ祐介の姿に、涙が溢れた。

子供が、こんなに可愛いなんて、思わなかった。

もちろん、欲しくて産んだのだが、それ以上に、愛しいのだ。

出産は、無事終わり、1ヶ月後に退院した。

しばらくは、実家で生活をする事になった。

休みの日には、浩介が何度も静香の実家に足を運んだ。

浩介も、祐介が可愛くて仕方なかった。