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百合の告白を聞いた時、静香も自然に自分の事を百合に話した。
「そんな事があったんだね。静香さんは、幸せ一本道で生きてきたのだと思ってたのに。
もう少し違う形で出会っていたら、きっといい友達になれてたと思う。」
「そうだね。きっと百合さんとは、いい友達になれてたと思う。」
静香は思った。
最初に百合に会った時は、ただのあばずれ女にしか見えなかった。
だけど、こうやって話すと、浩介が百合を好きになった気持ちも、理解できた。
「愛するって難しいよね。でもね、愛を失って気づいた事があるの。
愛は、溺れるものじゃなくて、勝ち取るものだってね。
愛するという事に、酔いしれて、溺れるのは、お酒に溺れるのと同じ。
自分を破滅させるだけ。
それが私はわかったから、浩介から離れるのよ。
静香さん、もう会うことはないかもしれないけど、私はあなたたち夫婦以上に、幸せになって見せるからね。」
そう言うと、晴れやかな笑顔になった。
静香は、百合と出会えてよかったと思った。
そして、この人にも、きっと幸せが訪れますようにと、心から願った。
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