プロローグ

3/4
前へ
/4ページ
次へ
舞は[彼]にまだ聞きたいことがあった。何でそんなに哀しそうな眼をしているのか、何で舞の夢に現れるのか、霧生薫とは誰なのか、[彼]の名前はなんなのか、何故舞の名前を知っているのか……兎に角色々聞きたいことがあった、ありすぎた。 「あなたは一体…」 「……我が名はシンク、ラビリンス総統メビウスが僕だった者」 「シンクさん、あなたは何故私の夢に現れるのですか?」 「…いずれ分かる」 そう言い消えていく。同時に周りの景色が歪みはじめ……。 「シンクさんっ!!!!」 そこで目が覚めた。 「夢……また、同じ…でも違う…」 舞は先程見た夢を思い出していました。夢の中で出会っていた『彼』の名が『シンク』という事、霧生薫に会えという事……なんとなく、いえ確かにその二つの名前に安堵を感じました。 ふうと軽く息をつくとパジャマから私服に着替えると台所に向かいました。 すると頭がくらっときて、壁に寄っ掛かると眉間に指を当てて次々と溢れ出てくる倦怠感に意識を捕られないように耐えています。 あの夢を見るとどうしようもない疲労感と倦怠感に襲われてしまうのです。 夢の内容が変わる度、その感覚は強くなっていきます。 三回目の夢の内容が変わるととうとうその感覚に耐えきれずに倒れてしまいました。 実は舞には二人の同居人が居ます。 二人とも舞より一つ年下ですが…。 家事全般舞がやっている状態です。 他の二人は全く出来ないのではありません。 舞がやらせようとしないだけです。 倒れた時、二人が看病してくれたり代わりに家事をしてくれ、とてもありがたいと思いました……。 それが間違いだと気付かされるまでは……。 しっかり者でこの別荘の主である同居人の料理は、何故か卵粥が致死相当のボイズンクッキングになって出来て約一週間生死の間をさ迷い。 洗濯物が泡まみれならまだしも何故か異臭がしてその臭いを嗅いだ動物が即死してしまったり…。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加