影失踪

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     我が家の人は私以外の皆頭が良い。会社の重役を任されている父。知らない事など何一つ無い母。要領の良い兄。  当の私はと云うと…ドジでマヌケ。失敗を何度となく繰り返し何度同じ事をやっても学習しない為に家の中、更に学校まででも何もさせて貰えない始末でいる。  そんな私にも誇れることがある。それは演技だと思う。  私がどんなに重大な失敗をしても、どんなに取り返しの効かないミスをしても、最後には皆許してくれた。ニコニコしてさえいれば。 『偽善者!!』  小学校の頃だろうか。そんなことを私に言い放ってきた男子が居たのを覚えている。  予想だにしていなかった言葉だ。したくも無いのにニコニコとしていたからだろうか。思ってもいないのに話を会わせていたからだろうか。そんなつもりは無くても他人にはみえてしまうのだろう。
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