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ふと何気無く私は自分の足元へ目を向けた。そこには本“来在る筈のモノ”がなかった。
唖然とした。嘘だと思った。信じたくない私は自分の目を擦った後再び自分の足元へ視線を落とした。やはり無い。
本来なら影の在るべき場所を眺めながら母の服の裾をグイッと引っ張った。
「ママ…………影が…な…いわ」
スタスタ歩いていた母は小さく首を傾げ大きな声で「はぁっ?」と疑問府を打ってきた。
「ママ!!私の影が無いわ!」
私はその言葉と共に母の顔を見つめた。
「はぁっ!?在るじゃない。」
母は私の足元をみるなりそう言い放った。そうして、またスタスタと歩きだす。
「からかわないでね。暇じゃないんだから。……帰るわよ!」
そう言い残して…。
そして家に帰っても母の機嫌は直ることが無かった。
そして私は只、信じて貰えない事が悲しかった。
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