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朝の会での事だった。いつも煩いくらいに元気なガキ大将の姿が見当たらないのは不思議に思っていたが、先生の纏っている深刻な雰囲気には何か言い難いモノを感じられた。
「皆も気付いてると思うけど…クラスの仲間が一人…学校へ来れない状態になりました。」
ザワつく教室内。
「昨夜、彼は何者かに脅えた様子で2階から転落しました。命に別状はありませんが、もう…動くことはないらしいです…」
私は怖くなった。昨日は確に“言葉を発する資格はない”と言ったのを覚えている。でも、こんな偶然があっていいものだろうか?
それでも平常心を保ち家まで私はちゃんとやり過ごした。
「ただいまぁ」
いつもは玄関を開けると直ぐに母の声が返ってくる筈だった。
しかし今日に限り返ってこない。
「出かけちゃったのかなぁ……」
独り言を言いながらランドセルを背負ったまま居間へ向かった。
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