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「今までの警察の体制や倫理からすると、゛国民の人に情報を提供して頂く゛という形を取らせて頂いていました。しかし、これだけでは不十分な部分があるんです。……それが何か分かりますか?」
《不十分な部分……。一体なんなんだろう?競争心とかそこらへんの答えを待っているのだろうか?》
池波は上手く考えがまとまらないので頭を左右に振る。
橘はそれに対して゛分からないのか゛とでも言いたげに大袈裟に驚いた表情を作り、人差し指を立てた。
「じゃあヒントを一つ。事件の中には、それ以上情報が集まらない可能性が高いだろうに徒労に終わる捜査を続け、結局犯人を検挙出来ない事があります。……そういう時に足りないものと考えて頂くと分かりやすいのかもしれません」
《……。》
池波の予感は半ば的中していたらしい。
クイズ番組に似ているという発想ははいい線を行ってたようである。
池波は頭の中のパズルの最後のワンピースがはめ込まれるのを感じながら回答した。
「もしかしたら……たくさんの回答を得て、正解をその中から探す……とかですか?」
橘、山下は名司会者の如く、二人でハモり、
「ご名答」
と拍手の仕草を行う。
池波は甘いタネに誘い込まれた事を確信したが、興味も湧きつつあるので゛あくまで゛形式的に照れて見せた。
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